ChatGPT WorkとCodex導入で、Stampliは立ち上げ工数を68%削減しました。

Stampliは中堅規模の金融テクノロジー企業で、北米を拠点としています。固定された納期とデザインリソース不足という制約を抱えていました。そこでAIツールを使い、数週間分の制作作業を数日単位に圧縮しました。対象製品は、CFOや財務責任者向けの支出インテリジェンスツール「Deep Finance™」でした。

以下では、具体的な数値と活用プロセスを整理し、法人研修の企画に役立つ視点を提供します。

Stampliとは

Stampliは、調達から支払いまでを一元管理する米国のプロキュア・トゥ・ペイ(P2P)プラットフォームです。

**Deep Finance™**は、Stampliの支出データをCFOや財務責任者向けの経営インサイトへ変換する製品です。今回の事例は、このDeep Financeのローンチプロジェクトが対象です。

この記事のポイントは次の通りです。

  • 68%の工数削減:想定243時間の作業が77時間に短縮
  • 3.16倍の制作スピード:プロトタイプから公開ローンチまで約6週間
  • ChatGPT Workで週に100件超のコンテンツを制作
  • Codexがヒーローアニメーション制作の**約90%**を担当
  • 顧客向けコンテンツは、すべて人間によるレビューと最終承認を維持

固定納期とリソース不足という制約

Stampliのマーケティングチームは、Deep Financeのローンチに向けて複数の課題を抱えていました。

製品開発、ポジショニング、デザイン、コミュニケーション、イネーブルメント、オペレーションを担当していました。これらすべてを同時並行で進める必要がありました。しかも納期は固定されており、デザインリソースや外部契約者はすでに他の優先案件に割り当てられていました。

このような状況でチームは、Codexを使い情報を統合するシステムを構築しました。統合した情報には、製品情報、会議メモ、意思決定内容、メッセージングガイドラインが含まれます。

ChatGPT WorkとCodexで何をしたか

制作したコンテンツの種類

Stampliのチームは、Codexを使って進化し続ける製品の意思決定内容を、レビュー可能な形の成果物に変換しました。

具体的な制作物は次の通りです。

  • 7部構成のブログシリーズ
  • ローンチ用メール
  • ウェビナーとその資料
  • ソーシャルおよび有料広告用クリエイティブ
  • PR Newswireのプレスリリース
  • Deep Financeの製品ページ
  • 営業イネーブルメント資料

ヒーローアニメーションの制作プロセス

ローンチのヒーローアニメーションも、Codexが探索・反復・パッケージングの工程を担当しました。

その後、外部の契約者が冒頭シーンと最終フォーマットの仕上げのみを行いました。Codexは、洗練されたアニメーション制作作業の**約90%**を担ったことになります。

日常業務への定着

Deep Financeのローンチを支えた仕組みは、日常業務でも使われています。それは、Stampliの製品マーケティングチームが普段から使う仕組みと同じです。

従来、製品情報を最新に保つには次の作業が必要でした。

  • プロダクトマネージャーへのヒアリング
  • Jiraチケットの確認
  • GitHubのレビュー
  • 会議メモの読み込み

その情報をヘルプセンター記事やプレゼン資料、ワンページャーなどに翻訳する作業も発生していました。Stampliは、こうした作業の多くを自動化しています。

製品マーケティング担当ディレクターのMelad Zahedi氏は、この仕組みによって少人数チームの生産量が10倍近くに増え、週に数百件のコンテンツを出せるようになったと説明しています。以前は週にわずか数件しか出せなかった状況からの変化です。Zahedi氏は、GPTを活用した自動化を会議準備のための情報整理ツールとしても使っており、これを「セカンドブレイン」と表現しています。

StampliのCEO兼共同創業者であるEyal Feldman氏も、Codexの効果について言及しています。同氏によれば、Codexは顧客ニーズとチームの対応、実際の利用から得られる学びとの距離を縮める役割を果たしています。技術力を全チームに広げることで、要件からデプロイ可能なソリューションまでの速度を高めているとのことです。

数値で見る導入効果

Stampliが公表した数値は次の通りです。

項目 導入前(想定) 導入後
想定作業時間 約243時間 約77時間
削減時間 - 約166時間
削減率 - 約68%
制作スピード 基準 約3.16倍
立ち上げ期間(プロトタイプ→公開) 数か月〜四半期規模 約6週間
週間コンテンツ制作数 数件程度 100件超

Zahedi氏は、OpenAIのツールを使うことで、従来なら数か月から四半期規模かかっていたプロセスが約6週間に短縮されたと述べています。

AIエンジニアアカデミー受講生に見る傾向

AIエンジニアアカデミーの法人研修では、マーケティングや広報部門の受講生が増えています。生成AIを使った制作業務の効率化に関する相談も多く寄せられています。

Stampliの事例のように、エンジニア以外の職種でもAIツールを使いこなす動きが広がっています。CodexやChatGPT Workはその代表例です。受講生の傾向を見ると、プロンプト設計や社内ナレッジの構造化を学んだチームほど成功しやすい印象があります。特に、コンテンツ制作のリードタイム短縮で成果が出やすいようです。

一方で、Stampliが顧客向けコンテンツに人間のレビューと最終承認を維持している点は見落とされがちです。研修現場でも、AIの出力をそのまま公開しない設計が重要です。品質チェックの体制を組み合わせて教えることで、定着効果が高まります。

まとめ

Stampliの事例は、固定納期とリソース不足という制約下でも工数を大幅に削減できることを示しています。その鍵となったのが、ChatGPT WorkとCodexの活用です。

243時間77時間に圧縮した削減効果は**68%**に達します。この数値は、法人が生成AI導入の稟議資料を作成する際の参考値になります。重要なのは、スピードだけでなく人間によるレビュー体制を維持した点です。

自社で同様の効果を得るには、ツール導入だけでなく、情報を構造化して活用できる人材の育成が欠かせません。

よくある質問

Q. ChatGPT Workとは何ですか?
A. ChatGPT Workは、企業の業務利用を想定したChatGPTの機能です。長時間の調査や成果物作成のタスクを想定した、通常のChatGPTとは別の体験として提供されています。社内データや業務文脈と連携し、コンテンツ制作や情報整理などの業務を支援します。

Q. Stampliの事例は日本企業でも参考にできますか?
A. 業種や規模は異なりますが、固定納期とリソース不足という制約は日本企業でも共通する課題です。製品情報を一元化し、レビュー体制を維持したまま制作を効率化する考え方は参考になります。

Q. CodexとChatGPTの違いは何ですか?
A. Codexはコード生成やソフトウェア開発タスクに強みを持つOpenAIのコーディングエージェントです。Stampliの事例では、コンテンツ制作やアニメーション制作といった非エンジニア業務にも活用されています。

Q. 生成AI導入で工数削減を実現するには何が必要ですか?
A. 製品情報や意思決定内容を一元管理する仕組みと、人間による最終レビュー体制の両立が必要です。Stampliはこの2点を維持しながら、工数を68%削減しました。

法人向けのAI人材育成・研修導入をご検討の場合は、AIエンジニアアカデミーの法人研修プログラムについてお気軽にご相談ください。